ミツバチ家族大移動

~ミツバチと共に暮らす私たちの一年をご紹介します~

旅の始まり

〈5月下旬ごろ〉

長野からそろそろアカシアの花が咲きそうだという連絡が入ってくると、いよいよ旅の始まります。
移動のために巣箱をトラックに積む時は暗くなるまで待たなくてはなりません。明るいうちはミツバチ達が働きに出ているため巣箱に戻ってこないからです。ほかにも、出来るだけ涼しい夜のうちにトラックを走らせ、日中の暑い時間帯を避けるという意味もあります。気温が上がる日中では、巣箱の中が暑くなりすぎるとミツバチが死んでしまうのです。
辺りが暗くなってから重い巣箱をひとつひとつ運んで積み終えると、今度は休む間もなくトラックを走らせます。このようにハチ屋さんはとても過酷な労働を強いられますが、これも生き物の命を預かる者の責任なのです。こうして長野に到着したミツバチは半月近くのあいだ、山で満開になったアカシアの蜜をあつめます。

北海道へ

〈6月中旬ごろ〉

長野のアカシアが終わると、次はいよいよ本州から北海道へ移動します。私たちの仕事の中で一番大変なミツバチの長距離輸送です。ミツバチを連れ、海を渡り、夏をオホーツク地方で過ごします。

生き物の命を預かるということ

北海道への道中では二人の運転手で交代しながら走るので、食事も交代で、走る車の中でお弁当を食べます。走行中はミツバチの巣箱に風が当たるので涼しい状態になりますが、いったん止まってしまうと巣箱の中の温度が急激に上がり、ミツバチを死なせてしまうことになりかねません。ハチ屋さんが輸送中に最も恐れるのは「蒸殺」といって暑さでミツバチを殺してしまうことなのです。
途中、津軽海峡を渡るフェリーの中が唯一の休憩場所となります。フェリー乗り場での乗船待機中はトラックを止めなくてはならないので、ミツバチが暑さで死んでしまう蒸殺を防ぐために朝方の最も涼しい時間帯に合わせてフェリーを予約しておきます。船内では牛や競走馬と一緒になることが多いのですが、これらの生き物を乗せたトラックは新鮮な空気が当たる風通しのよい場所に配置してもらえるので、船が走り出すとまた涼しい風を受けることができます。
明るいうちにようやく目的地の町に到着すると、休む間もなく急いで蜂場(巣箱を設置するための場所)に巣箱を降ろして並べ、閉じてあった巣門を開放してミツバチが自由に飛び回れるようにしなければなりません。地元の仲間のハチ屋さん達にも助けてもらいながら、暗くなるまでまた作業はつづきます。

短い北海道の夏

北海道に着いて最初に採るのもアカシアの蜜です。長野とは開花の時期が違うので、その差を利用して二ヶ所で同じ種類の蜜を採ることが出来るのです。アカシアの花が終わるころになると、今度は広大な牧草地にクローバーが咲き、さらに菩提樹が咲き始めると巣箱を森の中へ移動させます。森の中では大切なミツバチをヒグマから守るために、蜂場を電気牧柵で囲わなければなりません。厳しい野生の中で生きるヒグマが大好物のはちみつを見逃すわけがないからです。
北海道の夏は短く、8月も半ばを過ぎると急に涼しくなって秋の気配を感じはじめます。草も木も、虫も動物も、短い北海道の夏をみんなせいいっぱい生きています。私たちもまた短い夏の間に、せいいっぱい働かねばなりませんので、ご先祖様には本当に申し訳ないのですが、お盆のお墓参りにも行くことができません。
夏が過ぎ、一年の収穫が終わるころに、ようやく息抜きの出来る時間が持てるようになります。北海道の大自然の中をトレッキングしたり、川でニジマス釣りをするのも楽しみのひとつです。

「旅」の終わりと始まり

私たちがミツバチの巣箱を残したまま北海道から伊豆へ帰って行くのは10月の半ばです。ミツバチに冬越しの準備をして、北海道の短い秋を過ごさせます。
そして11月の下旬、北海道に雪がちらつき始めるころ、私たちは伊豆からトラックで北海道へ向かいます。ミツバチ達を温暖な伊豆に連れて帰り、そこで冬を過ごさせるためです。春から夏にかけて、長野、北海道と北にのぼってきたコースを、今度は逆に駆けくだっていきます。
伊豆に戻ったミツバチ達は、これから迎える冬をじっと生きぬき、来年の春に梅の花が香りだすころ、ふたたび活動を始めます。
そしてそれと同時に、私たちの旅もまた始まるのです。

旅先でのつながり

こうした旅から旅の生活は、とても変化に富んでいます。旅先では、さまざまな人たちとの出会いが待っています。それはひとつの土地にとどまっていたのでは決して会えない人たちです。
人ばかりではありません。各地の美しい風景が見られるのもこの仕事のおかげです。
時には大変なことや不便なこともありますが、しかしそれ以上に受け取るもの、与えてもらっているものがあると思っています。ですから、私たちはこの仕事がとても好きなのです。私たちは体力の続く限り、この仕事を続けていくつもりです。

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